公開: 2019年7月23日
更新: 2019年7月25日
「秩序」と言う言葉には、様々な意味があります。数学では、「順序」を意味することが多いでしょう。特に、集合の中の1番目の要素、2番目の要素など、前後関係がある要素からなる集合を順序集合などと呼びます。物理学では、量の多さや大きさを示すときに、量の具体的な数値を問題にするのではなく、量の大まかな10進数で表した場合の桁数を意味したりします。さらにコンピュータ科学の分野では、ある問題を解くのにどれくらいの計算が必要であるかを表現するのに、比例で表現できる「線形」時間、2次関数などの多項式でなければ表現できない「多項式」時間、さらにある定数の何乗の時間がかかるかでしか表現できない「指数」時間などに問題を分類したときの分類を「オーダー」と呼びます。この記事における「秩序」は、哲学や社会学などで使われる言葉の「秩序」です。社会学では、ある社会(グループ)に属する人々の間で共通に理解され、守られている決まりごとや何を大切にするかなどの考え方を言い、その秩序が大きな社会に存在する複数のグループの中に、上から下へと地層のように層をなして積み重なっている様子を議論します。例えば、封建社会の身分階層の問題などです。哲学やその1分野である倫理学では、どのような「もの」や「こと」を重視して、人間が問題を考えるのかを議論するときに必要となる、問題の大きな分類(カテゴリと呼びます)のための基準を意味することが多いでしょう。
アンドレ・コント=スポンビル、「資本主義に徳はあるか」(2006年)、紀伊国屋書店